海南市では省エネや環境保全に積極的に取り組んでいるとお聞きしています。
設計を担当された坂本さんの感想をお聞かせください。
坂本氏/弊社は、施設のエネルギー設計に関して、クライアントのニーズに応じて設計をしています。今回は、海南市役所のご担当者から、厨房の暑さ対策とランニングコストの削減、そして少しでも環境負荷の低い設備を導入することを目的に「きらら子ども園はオール電化で」とお話をいただきました。
当初、他の設備案よりもイニシャルコストが増加することを心配していたのですが、提案書を見るとランニングコストが年間約82万円削減でき、2年半程で回収できることが分かり、問題なしと判断しました。また、オール電化にすると、プロパンガスのボンベ置き場を設ける必要がないので敷地を有効利用でき、その結果、園舎を平屋にすることができました。平屋にすると、緊急時などに園児が迅速に園庭に出ることができます。オール電化にすることによって、環境保全やコスト面だけでなく、避難経路の確保にも大きく貢献できる設計にできたと感じています。
調理員の玉井さんは電化厨房での調理の経験はあったのですか?
玉井氏/電化厨房は初めての経験でした。長年、ガス火を見ながら火力を調整する習慣が身についているので、まだまだ電化厨房の能力を使い切れていません。しかし、電化厨房にして本当によかったと感じています。
そもそも園の計画時に私たち調理員が、「電化厨房を採用してほしい」と市に要請しました。その理由は、ガスを使うと、時にはガス漏れで危ない思いをしたり、夏場には厨房の温度上昇で非常に体力を消耗したり、心配が絶えませんでした。さらに、大量のお湯を沸かしたり炒め物をする回転釜は、かつて使用していた機器ですと腕が釜に少し触れただけで、火傷するなどの心配がありました。なにより燃焼部分がない設備ですので、園児をあずかる立場としてとても安心しています。
健康面と安全性で電化厨房を要望されたのですね。
初めての電化厨房ということで、研修などに参加されたのでしょうか?
土屋氏/開園前に、関西電力のエルテック新大阪で電化厨房機器や実演の見学をさせていただきました。また、開園直前には園の厨房にインストラクターが来園して、実習もしてくださいました。
ところが、やはりまだ電化厨房を100%使いこなせていないのかな、というのが本音のところです。まだまだ上手に使える余地があると感じていますので、是非、再度実習をお願いしたいですね。
電化厨房で、「使いやすい」と感じることを教えてください。
玉井氏/ガスと違って夏場でも厨房が涼しく、快適な環境で調理ができました。IH調理器も、油のハネが少なく、また、汚れもサッと拭けるので掃除が楽ですね。ガスの場合、どんなに掃除してもコンロにススが溜まって、不完全燃焼になるようなこともありました。また、電気式の回転釜は湯が沸くのが非常に早く、1度沸いたら冷めにくいようにも思います。電気式の回転釜が3台ありますが、新しい機器では釜のフチなどが熱くならないシステムになっているので、腕が触れても火傷せずに済んでいます。
献立を考えておられる南村さんにお聞きします。
献立を考える際に、心がけていることを教えてください。
南村氏/できるだけ手作りを心がけて、なるべく冷凍食品を使わないようにしています。和歌山県は海の幸も山の幸も食材が豊富な地域です。できるだけ地元の旬の食材を仕入れてもらうように業者の方にお願いしています。子ども園では0歳から就学前の6歳児も対象としています。3歳児を境として0歳から3歳、4歳から6歳でカロリーを調整しています。
きらら子ども園に導入されたスチームコンベクションオーブンは調理の幅が本当に広いのですが、他の園にはまだ導入されておらず、市全体の献立が共通なので、スチームコンベクションオーブンの良さを活かし切れないのが残念です。
ときどきは、手作りのおやつも出るそうですね。
土屋氏/週に何度かの割合で、パウンドケーキ、蒸しパン、わらび餅、フルーツポンチなどを園で手作りしています。スチームコンベクションオーブンのおかげで作れる料理の種類が増えたので、もっとおやつの幅も広がると感じています。
おやつ以外に、年長さんを対象として、月1回の割合でバイキング形式やクッキング形式での昼食も行っています。クッキング形式は、ホットプレートなどを使って園児が自分たちで焼きソバなどを作って食べます。子どもの時にいろいろな食材や料理に親しんでおくことは、非常に大事なことです。このような取り組みをしたことで野菜嫌いの子も進んで野菜を食べるようになりました。
最後に、関西電力へのご要望をお聞かせください。
玉井氏/日々の仕事を通じて1日も早く電化厨房を100%使いこなせるように努力していますが、失敗が許されないため、どうしても限界があります特にスチームコンベクションオーブンでは、まだまだ沢山の種類の料理ができると聞いていますので、今後もインストラクターの方から色々な調理の仕方を教えて欲しいと思っています。また、厨房での節電方法などもアドバイスをいただければと思います。
坂本氏/さまざまな選択肢の中でクライアントにとって最適なエネルギー設計をご提案することが、弊社にとって最も重要な課題です。個人的には、ほとんどのお客さまからお問い合わせをいただくようになった、オール電化という選択肢の今後の展開に、非常に興味がありますね。
南村氏/海南市の公立保育園で最新のオール電化を導入しているのはこの園だけです。スチームコンベクションオーブンを使った献立が市内の園で使えるようになると、公立保育園の献立の幅が大きく広がると思います。オール電化を導入する園が増えるように、関西電力の営業力に期待しています。
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| 認定こども園 海南市立きらら子ども園 2010年4月開園。教育と保育を一体化させた幼保連携施設。保育所と幼稚園の各施設が担ってきた専門機能を融合させ、年齢、環境の異なる児童が交流を持つ保育、教育の場。さらに、保護者の子育て相談所も併設し、地域の子育ての拠点機能を担う。幼保連携施設の立ち上げは海南市初の試みとして注目を集める。海南市は、地球温暖化対策実行計画推進会議を組織し、CO2排出量の算定調査、省エネ対策に取り組む。同園は0歳児から5歳児までを対象とし、短時間児(幼稚園児)60名、長時間児(保育所児)155名の計215名定員。 ●和歌山県海南市沖野々434番地 Tel:073-487-2370 |
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